ベスト
私たちはみな、
常に「これがベストだ」と思って選択をしています。
全ての行動が「ベスト」な選択によるものです。
こういうともしかしたら、反論があるかもしれません。
「いや、私はつい楽な方を選んで後悔してますよ」
「自分の選択がベストだなんて、とても思えません」
本当にそうでしょうか?
たとえば、ダイエット中に暴飲暴食をしてしまうとします。
もしそれがベストだと思っていないのなら、
その選択をやめて、別の選択をすればよいだけです。
逆にベストだとわかってることなら、たとえ誰かが止めても、おそらくあなたはやるはずです。
もしタイムマシーンに乗って過去に戻れるなら、バブルが崩壊する直前に不動産を売却するでしょうし、リーマンショック、ライブドアショックの前に株を売り払うでしょう。
たとえまわりがバブルに浮かれていても、たとえまわりが危機に気づいてなくても、もし結末を知っているなら、あなたの選択はブレないはずです。
じゃあなぜ、
私たちはベストだと思ってない選択をわざわざしてしまうことがあるのか。
なぜ、あとで「こうしておけばよかった」ということを、先延ばしにして、見ないふりをして、黙って絶好のチャンスを逃してしまうのか。
それは、
ベストかどうかの判断ミスではなく、
ベストを決めるときに観察する範囲が違うだけなのです。
どういうことかというとたとえば、
①長期的に見れば、船底に見つけたヒビ割れは、直ぐに修理した方がいいけれど
②短期的に見れば、まだ沈んでないから、いつもと同じ行動を続けた方がラク
どちらにしろ
「そっちの方がリターンが高い」と思って
そのストーリーを選択しています。
要は、注意を注ぐ範囲が違うだけなのです。
じゃあ何によってその範囲が決まるかというと、過去の記憶です。
優れたトレーダーが、15分足、4時間足、日足などのチャートを複数開いて判断するように、優れた意志力のトレーダーは、人生目標、年間目標、月間目標などのタイムラインを意識して、その日の優先順位を決めます。
これを「頑張って」やろうとするから、
多くの人たちが挫折します。
「チャートは見ない方がよいのでしょうか?」
この質問には、大事な情報が抜けています。
ズバリと結論から言うと、「なんのために見るのか?」によって、同じ行動でも全く違った意味になります。
もし、
・適切な売買行動をする準備段階として
・「利益を出す記憶だけ」を仕入れる目的であれば、これから利益を出す結果に近づきます。
けれどもし、
・単に焦りと惰性と不適切な記憶の延長で
・人間関係の問題を直視しないために
・お金で解決したいから、ひとまず何かのノウハウに期待してチャートを見るのなら、事態は深刻です。
ましてや正しい記憶を十分に仕入れても居ない状態でトレードして売買行動をしようものなら、たとえそれがお金を掛けないデモトレードであっても、悪い記憶を強化するだけです。
たとえ売買行動をしなくてもトレーダー思考ではなくギャンブル思考の色めがねを持ったままでチャートを眺めるだけでも同様です。
刺激を求めせっせと「負債記憶」を熱心に仕入れ始める人が後を絶たないのです。
これが「過去の記憶」の恐ろしさです。
いま、満足の行く結果が得られてないなら、
何かを足す前に、まず引く。
焦る気持ちそのものが、あなた自身ではなく、過去の記憶の仕業だからです。